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「チックタック」・・・(作)千葉 省三
おじさんのうちの「ボンボンどけい」のなかに、こどもがふたあり(ふたり)いるんですよ。
うそなもんですか。このおじさんが、ゆうべ、ちゃあんと(ちゃんと)みたんだから。
おじさんは、なまえまでしってるんです。ひとりは、「チック」、ひとりは、「タック」。
チックとタック、チック、タック、チックタック・・・・・・・そうらね。
ちゃあんと、とけいのおとになるじゃありませんか。

ところで、おじさんは、ゆうべおすしをたべすぎて
おなかがはってちっともねむれなかったのです。

「ほ、十じ(10時)だな。うーん、くるしい。
おや、もう十一じ(11時)だぞ。こりゃいけない。」

ゴースーウ、コースーウ、いびきをかいてみても
ムニャムニャムニャ、ねごとをいってみても、どうしても、
おめめちゃん、おとなしくふさがってくれない。こまったなぁ!

ボーンボーンボーンボーンボーン・・とうとう十二(12時)じだ。

おや、へんだぞ・・・・おじさんは、めをこすってじっと、
とけいのふりこのところをみつめました。

十二じ(12時)をうってしまうといっしょに、ボンボンどけいのチクタクいっていたおとが
ぱたっとやんで、まもなく、こんなこえがきこえたんです。

「タック、タック、はやくおいで。」
「チック、チック、きものがぜんまいにひっかかって、でられないんだよ。」

みていると、ふりこのところのふたが「ぽん」とあいて、
そこから、ちいちゃい ちいちゃい、あかいさんかくぼうしをかぶった
こどもがふたりそっと、くびをだして そとを のぞいたんです。

おっと みつかっちゃ たいへん。
おじさんは、あわてて めをつぶって、いびきをかきはじめました。

「やあ、みんなねてらあ。」
「いびきをかいてらぁ、ずいぶん、ねぞうのわるい おじさんだなあ」
----------おやおや、わるくちをいってるぞ。
そのうちに、チックとタックは、するするとはしらをすべって、
たたみのうえへ、ストンとおりてきました。