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「チックタック」・・・(作)千葉 省三
「なにをして あそぼうねえ、タックちゃん。」
「かけっこ しようか。かくれんぼ しようか。」
「それより いたずらして やろうよ。ぼく、けむしをもってきて、
おじさんの えりくびに とまらせてやろう。」

おおっ!たいへんなことになったぞ。--------
おじさんは びっくりして、かめのこみたいに くびを すくめました。

「ぼく ほんとは、おなかが ぺlこぺこなんだよ。」と、タックが いいました。
「ぼくも。じゃ、みんな やめにして だいどころへ ゆこうや。」

ああ、よかった。---------おじさんは、ほっとしました。

チックとタックは、しょうじの やぶれたところから、
おだいどころへ ごそごそ はいこんだようです。

「ある、ある。いろんなものが あるよ。」とタックがいっています。
「うまいや、ぎゅうにくの つけやきだよ。」
「これは、てんぷらだ。ぜいたくな おじさんだなあ。」
「おっと、おとうふの おつゆだ。」------もぐもぐ、もぐもぐ・・・・たべている。

あああ、おじさん、あすのあさの たのしみが、ふいに なっちまった。
つまんないなあ。と、おもっていると、

「ははあ、おすしだな。さっき おじさんが、おいしそうに たべていたっけ。」と
チックが いいました。

「どれどれ。」

くいしんぼうらしい タックが、くちいっぱい ほおばって いっている こえが きこえました。と、

「うわッ、か、からい、からい。」
「ほ・・・・ほ・・・・・くちに、ひが ついた。」

なきだしそうな こえで、チックとタックが さけびました。

そうらごらん、ばちが あたった。おすしの わさびを たべたんですよ。
こどものくせに。
おじさんは おかしくなって、おもわず「ぷッ・・・・」と ふきだして しまいました。

ところが チックちゃん タックちゃん、おどろいたの おどろかないの、
ワッというと ガタンガタンと しょうじの あなを とびこえて、てっぽうだまみたいに、
ピュー・・・・・・スポンと とけいのなかへ にげこんで しまったんです。

それきり、しーんとして、しまいました。
けさになって、ボンボンとけいの おとの わるいこと。
ヂッグ、ダッグ、ヂッグ、ダッグ
きっと、ゆうべの わさびがきいて、のどをからしたんですよ。