
『野のユリ』 1963年 ラルフ・ネルソン監督
今でこそ黒人俳優がスクリーン内を闊歩することに違和感を抱く者は少ないだろうが、その“道”を舗装する役割を果たしたのがシドニー・ポワチエである。『野のユリ』にて黒人初のアカデミー主演男優賞を獲得、幅広い演技と共にカリスマ的な個性の持ち主として一気にスターダムにのし上がった。『手錠のまゝ脱獄』('58年。スタンリー・クレイマー監督)や『夜の大捜査線』('67年。ノーマン・ジュイソン監督)など、黒人差別を扱う作品に名作も多い。だが、その栄光の隣には常に黒人層からの批判の目が注がれ、「黒人は彼の役柄を何一つとして理解することが出来ない」とまで揶揄されたこともある。
父親は西インド諸島バハマでトマト栽培に従事する農夫。13歳で退学し離島。米国に渡り、職を転々として陸軍に入隊。除隊後、アメリカン・ニグロ・シアターで修行。'46年にブロードウェイ進出を得て'50年代初めに映画デビューを果たす。
長い冬の時代を続いたが'92年にこちらも黒人初となるAFI賞を受賞。それは彼が確実に黒人史に大きな一歩を築いたことを改めて証明する授賞式となった。
1924年2月24日 米・フロリダ州マイアミ生まれ