11.衝突時の負荷
   
胴体の損傷紙飛行機が衝突した時の力)
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 紙飛行機は飛行中のコントロールがなされないので、建物の壁や硬い地面に衝突することがあり、これが機体の破損のほとんどの原因となっている。
 紙飛行機の中で先尾翼紙飛行機は飛行姿に優美さがあり、鴨のイメージに似ていることからカナード(英語)、エンテ(ドイツ語)と呼ばれている。そのカナードは機体重量の大きな部分の主翼などが後部に配設されているので、衝突などで胴体の折損が比較的起こりやすく、その対応のためにも衝突時の負荷を調べてみた

 1.機体の破損
 右の紙飛行機はカナードの破損機体であり、最近は少ないがそれでも初飛行で破損することがあり、蔵出し一発でオシャカとなって飛ばす楽しみを一瞬にして奪われてしまうことになる。
 写真ではよく分らないが、ほとんどが胴体の損傷であり前翼と主翼の間の胴体の折れや曲がりである。

 
 2.胴体損傷の内容
 胴体の損傷としては、損傷の具合と損傷の位置に分けて内容を調べた。
 直下降での衝突着地は垂直の場合と斜めの場合があるが、斜め着地が多く衝突時に衝撃音がして瞬間的に損傷している。
 
 @ 損傷の具合
    1) 圧 損
 胴体が衝突時の衝撃圧縮により損傷を起こしている。写真では分りにくいが前翼の後部で損傷し胴体より紙が膨らんで側面にクラックが入っている。


 2) 切 断
 胴体が折れて切断された前翼部分が分離飛散している。
衝突時、胴体の弾性が少なくもろくて弱い箇所に曲げせん断が作用し衝撃で切れたと思う。
 内側の紙は広がりながらも、きれいに切れている。

       

    3) 折 損
 機体の斜落下の衝突で、胴体に曲げが働き折れている。
 折損は横折れと縦折れがあり、衝突時の機体の姿勢によると思う。
 
 4) 曲 損 

 胴体が衝突時に衝撃の圧縮で曲損を起こしている。前翼の後部で座屈によりクランク状に胴体が曲がっている。衝突時に荷重が若干偏芯して曲がったと思う。
  (前翼をはずしてある)
 5) 裂 損
 胴体の接着加工が不十分であったのか、2枚に裂けて広がり折れ曲がっている。
      (前翼をはずしてある)

 A 損傷の位置
折れ曲がりの位置は胴体の中間(写真右端)が多いが、その他に胴体のウィークポイントにも起きている。
それは加工時の接着不良や紙の折れスジ、カッターでの傷や鋏の切り込み段差等が加重時の応力集中で損傷につながったと考える。

     
(前翼をはずしてある) 

     

 3.機体の強度と衝突時の荷重試算
 機体は前翼先端から主翼先端までの100ミリを梁や柱と仮定して強度、荷重を試算した

  @ 胴体の曲げ歪量の寸法計測    

 

  A 計 測 結 果
100ミリのスパンの中間に各歪の量に対応した錘を吊るしグラフ化した。なを胴体はBのように横にした。


  B 機体の断面係数と二次モーメント


  Z=bh2/6=5×1.8×1.8÷6=2.7mm3    
                      
I=bh3/12=5×1.8×1.8×1.8÷12=2.43mm4
  C 縦弾性係数(ヤング率):E の算出 
    胴体の曲げの歪の計測値は「両端支持梁」と見なされるので
     
δ=PL3/48E I         グラフより歪δ=4mmの時 荷重P=210g=0.21kg
    
 ∴ E=PL3/48δI       なを、L=100mm , 断面二次モーメントI=2.43mm4
        
        
 E=0.21×100×100×100/48×4×2.43=450s/mm2
    
ちなみに、曲げ応力は
         
δ=M/Z=PL/Z=0.21×100/2.7=1.9s/mm2         

  D 衝突時の荷重計算 
 胴体を柱としてオイラーの座屈計算より胴体強度の限界荷重として考え、衝突時に掛かる荷重を推算する。
     cr×π2E I/L2
      
柱の両端条件での  =1とする。
       
機首は地面に刺さるが回転ができ、他端は主翼である。 
     cr=1×3.14×3.14×450×2.43/100×100
        =1.08s
 すなわち、胴体強度の限界荷重は約 1s であり、これ以上では胴体は損傷してしまうことになる。
    これは、カナードの機体で主翼と後部の質量を5gとすると

     
荷重倍数 cr=1s/5g=1000/5=200  となる。 
 実際には胴体が衝突で損傷しているので、荷重倍数は200倍以上にもなったと考えられる。これは衝突でぶつかった相手にも同じ衝撃を与えるのである。
 なを、机上で950gの文鎮を垂直に乗せると機体は保持されるが、若干機体を傾けると胴体の曲がりが増進し保持が困難となるので計算の妥当性は得ていると考える。  


 4.機体破損と安全の考え方
 紙飛行機は飛行中のコントロールが出来ないので前の飛行状態を見て発射前に修正するのであるが、修正しすぎて急落下を起こし衝撃で機体を破損してしまうことがある。
 カナードは主翼が機体の後部にあり衝突時の胴体への負荷が大きく、また胴体は長く折損が起こりやすいため、前翼を動くように保持して衝突時のショックを低減させている。 それは機体の保護とともに衝突を受けた物や人にもショックは少なくなるのである。

 機首のスポンジゴムの取付けは衝撃を和らげ安全向上を図っているが、さらに胴体の損傷は相手への衝撃を少なくさせることにもなり、機体破損が安全対策になると考えられる。 胴体を桧材で丈夫に作った垂直上昇機もあるが、機体を強化しながらも安全性に熟慮したバランスある紙飛行機が大事だと思う。

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