うさぎの不正咬合

(無断で引用、転載を禁ず)
  アンドレ動物病院

ウサギの歯は切歯(上4本、下2本)と臼歯(上12本、下10本)があり、すべての歯は、一生伸び続けます。
正常では、上下の歯が顎の左右の運動で削れているのですが、いろいろな理由でバランスが崩れると、うまく歯が削れず、異常な方向に伸びて障害が発生します。
不正咬合は切歯、臼歯いずれにも発生します。
切歯の異常は良く見れば、誰でもわかりますが、臼歯は耳鏡で覗くか、麻酔をかけて観察し、処置します。

原因  
(1)  遺伝的形質
(2)  外傷、感染
(3)  咀嚼不足   
      (食餌の繊維不足により、左右の顎運動が少なく、簡単に砕け上下運動が多くなる。
      すると、歯に対して強い垂直の力がかかるようになります。そうなると、歯がだんだん倒れ、
      一般的に上顎の歯は外側に、下顎の歯は内側に向かって斜めに延びてしまう。)
(4)  栄養不足 (カルシウム、ビタミンDなどの摂取バランスの異常)

以上のような理由により、異常な方向に伸びた歯により、食べれなくなったり、伸びた歯により舌や、頬の内側が傷つき、食欲があっても食べれなくなります。

症状
(1)  食欲不振           口が痛くて、食べたくても食べれない。
(2)  硬いものを食べない    野菜などしか食べなくなった。
(3)  よだれで口の周りがよく濡れている。  口をモゴモゴさせる。  舌をペロペロよく出す。
(4)  目やに鼻水がなかなか治らない。
(5)  衰弱

治療
切歯の場合、小型のニッパーなどで、カットすることも可能であるが、割れたりすることがあるので、できれば、麻酔下で切断機をもって切断するのが望ましい。
臼歯は麻酔下でよく観察し、尖っている部分を専用カッターや小型研磨機で整える。

食餌の改善を行う。
(治らないまでも、次回の歯のカットまでの時間が延長する。)

切歯の異常

上下の切歯が異常に伸びている。
臼歯が伸びて、舌の左側が削れ、潰瘍になっている
左側下の臼歯が、内側に鋭く尖っている。
左側下の臼歯が舌に当たっていた。
右側上の臼歯が当たって、頬の内側に穴が開いている。
右側頬が化膿して、右眼を突出させ、眼球も傷ついている。

この症例は、頬部を切開排膿、右側上臼歯を抜歯したのち、
治癒した。
頬部の化膿。

切開して排膿している。