白 い 子 猫

03年9月8日(月) 夜8時過ぎ、仕事が終わり、副院長と長男とともに
近くのコンビニに向かって歩いていた。

当院の前の道路は片側2車線で、鹿沼市(高速インター)から宇都宮につながる道路で
夜でも交通量が多く、直線なのでスピードも出ている。

もうすぐコンビニという所で、私たちの数メートル先を 白い小猫がその道路を横切ろうと 
サーっと 道路に走って出た。

信号の近くではあったが、青で車はスピードを出して走っている。

小猫はセンターラインまでは行けたが、向こう側の片側は車量が多く、
走ってきたトラックのタイヤに鼻先が接触した。

道路中央で もだえ苦しむ 小猫にどんどん車が迫ってくる。

私たちは 「 アーッ、アーーッ!! 」 しか 言えなかった。

小猫は後続車2台ほどに 接触し 道路の真ん中で動かなくなった。

長く感じられた信号が赤になり、車がつぎつぎと止まる。

私は道路を横断し 車間に横たわっている小猫を拾い上げた。

ぐったりして動かなかったが、心臓はまだ動いているのは判った。妙に暖かく感じた。

とりあえず自宅の病院へ 3人で走った。 

病院まで1分ぐらいだと思うが、抱いていた私は、小猫が 血を吹き、痙攣し、絶命するのを感じた。

仕事柄、もちろん動物の絶命は遭遇してきたが、なんとも言えない無力感を感じた。

やり場のないイライラから、「 どうして飛び出したのかね〜っ、 猫死んじゃったの〜っ?? 」 と 
覗き込んでいる 4歳の息子に 「お前も飛び出したら、こうなるんだぞっ!!」と 怒鳴っていた。

小猫は体重1kgぐらいで、生後1.5ヶ月程だった。顎は骨折し、肺からかなり出血していた。
1台目だけなら助かっていただろう。

首輪などはつけてなかったので、飼われていたのかは判らないが、もし飼われていたのなら、
この事故は飼い主の責任である。外に出さなきゃ事故にはあわない。

野良なのであれば、せめて真夜中であれば 車量も少なかったのに・・

私の母は40歳の時に道路を歩いていて、無保険車の軽トラに跳ね飛ばされ、
その後の彼女の一生は 彼女が望んでいた人生、周りが予想していた人生とは
まったく違うものとなった。

父は、友人の(これも信じられないが無任意保険)軽トラに同乗中 事故にあい(運転者は死亡) 
頭蓋内出血し、一時はかなり回復したが、その後、急速に痴呆が進み、昨年他界した。
(医師は交通事故と痴呆は関係ないという・・)

あの事故がなければ・・・と いつも 思う。

自動車はすべてを壊すエネルギーを持っている。

2003/09/10