アンドレ動物病院
* はじめに
リンパ腫とは一般的にリンパ、網内系組織の悪性新生物のことをいいます。
フェレットではリンパ腫は最も多くみられる腫瘍と言われています。
侵され易い部位はリンパ節、脾臓、胸腺、肝臓、髄膜、脊髄、腸管、
胸腔、腹腔、抹消血、で中でもリンパ節、脾臓、肝臓は多いとされています。
症状はどの臓器が主に侵されているかによって違います。
すなわち、いろんな症状が発生するということです。
* 原因
なぜ、フェレットにリンパ腫が比較的多いかはまだわかっておりませんが、
集団のなかでポツポツ発生することからウイルス感染が疑われています。
* 症状
若齢のフェレットでは、急速に進行し、成熟フェレットは慢性的にゆっくりと進行
する場合が多いといわれていますが、当然例外はあります。
症状は非特異的であることが多く、他の疾患と鑑別する必要がある。
食欲不振、元気消失、体重減少、衰弱、咳、呼吸困難、下痢、嘔吐、黄疸、
後駆麻痺(後ろ足の麻痺)、脾腫、体表リンパ節の腫大(下顎、頚部、脇、
内股の付け根、膝のうらなど、ただし、太っている場合はリンパ節に脂肪が
ついて腫れているように感じることがあるので注意)、
腹部の腫瘤、(胃あるいは腸間膜リンパ節の腫大)など
ただし、すべて認められるわけではない。
* 診断
1 上記の症状を検討
2 触診、レントゲン検査、エコー検査にて腫瘤(かたまり)を確認。
縦隔(心臓の付近)に腫瘤、胸水(胸に中に溜まった液体)が
認められることがある。(他の疾患でも認められることがあるので区別する)
3 血液検査
白血球、特にリンパ球の相対的または絶対的増加が認められた場合は
疑わしいといわれているが、
リンパ球が多くないから、リンパ腫ではないとは言えない。
4 細い針による腫瘤の生検(組織の細胞を採取すること)または
腫瘤の摘出による病理組織検査(最も確定的)
体表のリンパ節、胸部、腹部の腫瘤の生検。
胸水、腹水が貯留している場合はそれらの採取を行い
異常な細胞の存在を確認する。
ただし、異常な細胞が確認できないからリンパ腫ではないとは言えない。
リンパ球の増加はあるが診断が確定せず、他に症状が認められない場合は
定期的に検査を行う。また、他の疾患が併発していないかを確認する。
* 治療
リンパ腫は残念ながら完治しません。
フェレットがいかに楽に長く飼い主と過ごすことができるかが治療です。
癌の中でもリンパ腫は抗がん剤によく反応します。(効果的です)
緩解(かんかい)といって腫瘍が悪さしない状態を目標とします。
もちろん、緩解の状態までいかずに亡くなる場合もあります。
費用もかかることなので、よく相談し決断する必要があります。
抗がん治療を行うかどうかは飼い主さんの自由ですが、
やられた方は皆さん満足しています。
過剰に抗がん治療、副作用を気にすることはありません。
獣医師とよく相談して決めてください。
1 外科的切除
リンパ腫は1ケ所の腫瘤が目立っていても全身性疾患と考えますが、
孤立性の腫瘤切除は化学療法の効果を増大させます。
たとえば、脾臓摘出など
2 化学療法(抗がん剤)
どの抗がん剤プログラムを投与していくかによりますが、
一般的に数種類の抗がん剤を組み合わせて定期的に投与します。
副作用の発現の程度は個体差があり、その程度を確認するために
または、抗がん剤の効果を確認するために、
定期的に血液検査、レントゲン検査などをする必要があります。
副作用が重度に発現したら、抗がん剤投与を中止したり、
治療薬を投与したりします。
個体差はありますが、抗がん剤の効果は必ずあります。
血管内に投与(静脈注射)する場合は麻酔が必要になります。
3 プレドニゾロン単独投与
抗がん治療を行わない場合、プレドニゾロンの投与を行います。
注射と飲み薬があり、ある程度効果があります。
抗がん剤より効果はありませんが、副作用も少ないです。
一般的にプレドニゾロンを投与してから抗がん剤を行う場合
最初から抗がん剤投与するより効果が落ちるとされています。
* 当院では
リンパ腫である可能性が高い場合、まず飼い主さまに病気をよくご理解していただきます。
(例をあげてご説明)
抗がん剤投与を行うのか、プレドニゾロン単独で行くのか 検討ご相談いたします。
また、いろいろなサプリメント(βグルカンなど)もお勧めしております。